もしも「乳がん」と言われたら 〜おひとり様のための乳がんとの付き合い方〜 第3回 その後の治療に大きく影響する、乳がんの「告知」の受け止め方(前編)

作者: ヒメノワ
  2017/11/25 更新

みなさん、こんにちは。古田智子です。
少し時間が空いてしまいましたね。
もう景色はすっかり秋色。
朝夕の気温差が微妙なので、毎朝仕事で着ていく服にあれこれ悩む今日このごろです。

前回の第2回は、「自分で決めることを決める」というテーマでお話させていただきました。
さて、今回第3回のテーマは、ズバリ「告知」。前後編に分けてお届け致します。

「告知」って何?

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みなさんは、がんの「告知」と聞くと、どんな場面を想像しますか。

TVで時折見かけるシーンは、
診察室で白衣の医師と向き合って座る患者さんと、その家族。
その横にはレントゲンやMRIの画像が掲示されていたりします。
そして医師が重々しい口調で、
「がんが見つかりました。残念ながら余命◯◯年です」
アップになる患者さんの悲壮な表情。
そばにいる家族は、「先生!何とかならないんですか!!」と声を荒げる。
・・・概ねこんなパターンでしょう。

「告知」は、病院から予め「何月何日に告知します」とか、連絡が来ません。
告知とは、細胞や組織を悪性のものかどうか病院が調べて、その結果を患者が聞きに行く通常の診察の場です。
その時にたまたまがんと知らされたら、後に「あの時の診察が告知だったよなあ」と位置づける。こんな感じです。

私、古田の「告知」現場を再現しました

さて、それでは私古田の告知の現場を、今から忠実に再現してみますね。

待合室に座っている古田。予約番号を呼ばれて、診察室に入ります。
中にはカルテを整理しモニター画像を調整したりする看護師さんが一人。


看護師 

看護師 

「おひとりですか?」


古田

古田

「あ、はい、そうです。」



看護師 

看護師 

「こちらでおかけになってお待ち下さい。」


看護師が退室。


 
 
数分後、主治医が入室。
いつもは体育会系でガハハ笑いの先生の視線、いつになく泳いでいます。



医師

医師

 「古田さん、実は検査の結果、あまり良くなかった。」


古田

古田

 「がんですか?」



医師

医師

「そうです。」


古田

古田

「ああ、よかったーー!!!」




さて、みなさん。

「そんなの絶対ウソだ。よかったーー!なんて、言えるわけない。」
そう思っていらっしゃいませんか。

でも、これが嘘偽りのない「古田の告知現場」。
よかった、っていうのは、沸き起こる悲しみや不安を押さえ込もうとして、
痩せ我慢して発した言葉ではありません。

仕事で忙しい合間に偶然空いた時間でたまたま検査して、一発でがんが見つかって、
なんてツイてるんだろう!
この偶然がなかったら間違いなく1年は放置してがんが進行してた。
しこりの大きさからたぶん初期だし、ラッキーにも程があると心から思ったのです。

そうしたら、いつの間にか自然に口をついて出た言葉
それが


古田

古田

「よかったーー!」


ちなみに想定外の反応だったからか、


医師

医師

主治医が絶句して目を白黒させていたのがとても印象的でした。
 
 
 

主治医に聞いた、告知のリアル

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前回の号外で書いた、小林麻央さんが亡くなった頃。
定期診察時に、主治医が珍しく愚痴を口にしました。



医師

医師

「ここ最近、乳がんが見つかった患者さんに検査結果を伝えると、例外なく『私も麻央ちゃんみたいになってしまう』と泣き崩れ取り乱してしまって、病状の説明がきちんとできない。初期だから大丈夫と言っても聞く耳を持たず、治療に必要なコミュニケーションがうまく取れない。」
 
 
 
乳がん患者のネットワークなどからの直接ヒアリング等で情報収集した結果、
告知された乳がん患者さんの反応は、やはり号泣したり取り乱すことが多く、
また付き添った家族の方が患者さん以上に取り乱して医師を困らせてしまうことも少なくないようです。


古田が取り乱さなかった理由とは

では、なぜ私は取り乱すことなく、たったひとりで告知に向き合うことができたのか。

強く何事にも動じない精神の持ち主だから?

それとも我慢強いから?

とんでもない!私ほどメンタルの弱い人間はいません。

実は、いつも仕事で人前に立つ前に、手足が震えて冷たくなってしまう。
「早くこの場を終わらせて家に帰りたい」と心で涙を流している。
研修講師のキャリア20年以上、登壇本数が1,200本を超えても、ですよ。困ったものです。
それが私の真の姿。

だったらなぜ?

前回の投稿をお読みになったみなさんは、もうおわかりですよね。

そう、「知った」からなのです。

乳がんは、初期で見つかれば、5大がん(肺がん、大腸がん、胃がん、肝臓がん、乳がん)の中では最も経過がよく、
適切に治療に取り組めば恐れる必要がないことを、調べてただ「知った」だけなのです。

でも「知る」だけだと、それを打ち消すような不安材料が頭をもたげてくるものですよね。
だから、知る上での情報源を厳選することが、とても重要。

客観的なEvidenceに基づく正しい知識が得られる公共の医療機関のウェブサイトや、
最新の研究に基づきアップデートされる治療ガイドラインは、何よりも信頼できる情報源。
昨今の医療機関のサイト、イラストや写真も豊富で、とてもわかりやすくなりました。
こうした医療機関が提供する情報に、私も不安の払拭という意味でとても助けられました。

乳がん患者個人のブログに要注意!

一方、告知前後の情報源としてはお勧めできないのが「乳がん患者個人のブログ」。
こうしたブログでの情報発信、乳がんが進行してしまってハードな状況に陥っている方が殆ど。
乳がんに関する情報が少ない告知前後の段階でそうしたブログを見てしまうと、
「自分もいずれこうなってしまうのでは」といたずらに不安が募ってしまいがち。

あくまでも情報を幅広く集めて、自らのがんの状況を把握してから、そうした患者さんを応援する意味でブログを見るようにしましょう。

告知の受け止め方がその後に及ぼす影響とは

今回のテーマ、「告知」。

実は告知をどう受け止めるかによって、その後の治療やQOLに大きな影響を及ぼすという事実を、みなさんはご存知でしょうか。
ただ医師から検査結果を聞くだけのことが、なぜその後の経過を左右するのでしょう。
続きは後編で、詳しく触れて参ります。

それでは次回。またお目にかかりましょう。

特定非営利活動法人ビーシーアンドミー 理事長 古田智子

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