乳がんを克服したあとは・・・人工乳房という選択肢

  2017/8/27
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女性特有の病気で、近年、罹患率が増加傾向にある乳がん。
ここ数年の間で有名人が公表して注目されてきたこともあり、早い段階から検診を受ける人が多くなりました。

検診の受診率が増えたことで早期発見につながり、適切な治療ができれば社会復帰をする人も決して少なくない乳がんですが、がんの発生している乳房を外科手術で切除するため、術後には乳房の喪失感に苦しむことになります。

そんな中、インプラントによる乳房再建手術が2013年から保険適用になっています。
が、経済的負担が軽減されるとはいえ、再度の手術により身体に大きな負担がかかることには変わりがありません。
もし、万が一転移をしてしまった場合には、抜去しなければいけないというリスクがあり、あまり浸透しているとはいえない状況です。

そんな苦しみを少しでも和らげる選択肢として、「人工乳房」というものがあります。
これは、切除した胸の部分に貼り付ける造形物です。素材は主にシリコンで出来ており、見た目や感触も自然の乳房のような製品です。

筆者は本業の傍ら、人工乳房メーカー マエダモールドにて、相談販売の仕事をしています。
国内に人工乳房のメーカーは数社ありますが、それぞれに製品の特徴は異なり、価格も様々です。
その中でもマエダモールドは、建材や陶器の型を製作する技術を転用してこの製品を開発しており、高いクオリティを実現しています。

人工乳房を検討する人たちの悩み

人工乳房の購入を検討して相談に来る人は、乳がん克服後も、これまで通り旅行を楽しんだり、温泉に入りたい、日常生活に戻りたいという希望をお持ちです。
片方の乳房の重みがなくなったことで身体全体のバランスが偏り、肩こりなどに悩む方もいらっしゃいます。
中には、布製のパットでは服の上からのラインがどうしても不自然になってしまうという悩みの方も多く、いつまでも女性として美しく、という気持ちが強いことが感じられます。

インプラントと人工乳房の違い

インプラントは手術により乳房を再建するのですが、人工乳房は胸の上から装着します。
単なるパットと異なり、自然なバストラインが再現できます。

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人工乳房は利用シーンに応じて様々なラインナップを用意しています。
温泉や公衆浴場に入るときに付ける製品は、本体の周囲に糊代部分があり、裏側に人体用の接着剤を塗って素肌に接着します。
「これまでは手術後に友達との旅行をためらっていたけれど、人工乳房を付けることによって旅行にも行けるようになり、楽しみがひとつ増えた」との声が増えています。

日常生活を送る上で、左右のバランス調整やバストライン調整のために付ける製品は、本体の裏側が粘着質のシリコンで出来ており、素肌に密着させてブラジャーやブラトップなどを着用します。
「手軽に装着できて、適度な重みと密着で安心感が生まれ、仕事やスポーツに集中できる」との声が出ています。
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マエダモールド カタログから抜粋
何よりも、相談に訪れた人が製品を試着して、その姿を鏡で見たとき、
パッと顔が明るくなって、嬉しさを隠しきれないという表情をします。
そして「服の上からは見えないからいいと思っていたけど、毎日お風呂で自分の胸を鏡で見ることがやっぱり辛かった。でもこれがあると思うと気持ちが明るくなれる」と、皆さんはおっしゃるのです。

高まる人工乳房の認知度

乳房切除手術後の患者の精神的負担を軽減する有効な手段として、
また、再建手術の決心をするまでのワンクッションとして、医師の理解も進み、患者に紹介する機会を設ける病院も増えてきています。

定期的に患者向けに相談試着会を開催したり、学会で展示する場を提供したりなどの動きにより、少しずつ製品の認知度が高まってきています。

患者の日常生活に大きな影響を与えるものですが、生命の維持に直接必要ではありませんし、着衣していれば見えないため、保険適用対象外であり、補助金などの対象でもありません。

しかし、女性としての外見を取り戻すことで、生きる希望を再び持てることはとても大きな意義を持つと思います。
命が助かればそれで良いということではなく、助かった後の長い日常生活を見据えて治療にあたり、それを補助する製品は誰もが購入使用できる体制を整えるように、私たちひとりひとりが働きかけていく必要があるのではないでしょうか。


ときた行政書士事務所 行政書士 家族信託専門士 時田美奈

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