通過儀礼~おひとり様の介護離職~第6回 本当に会社を辞めなければ介護はできないのか?

  2018/2/15
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「もっとお見舞いに来てあげてください。仕事? 皆さん仕事辞めてらっしゃいますよ~」

知り合いの男性が実のお母様の入院先で看護師に言われたセリフです。
この看護師さんは、忙しい合間をぬって毎日病室に来ている家族の事情を分かっているのでしょうか。仮に仕事を辞めたとしても、入院費はどこから捻出しろというのでしょうか。当然知り合いの男性は激怒し、看護師の発言は病院内で大問題になったそうです。

患者及びその家族の味方であるべき医療従事者による心無いメディカル・ハラスメント。ただでさえ不安で先が見えない家族の状況を、もう少し理解してもらえないものでしょうか。

知ったもん勝ちの介護制度

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友人からのライン。「ガンが見つかって今度入院しなくちゃいけなくなった」。病気とか入院とか他人ごとと思っていたけど、身近な人たちの話を聞いて不安になる。今は健康で働いているけど、もし何かあったら・・・?
もう一つ、気になるのは年老いた親。最近は階段の昇り降りがつらいらしい。親の介護が必要になったら、面倒を見るのは多分、娘の私になるだろう。「すぐそこに迫る医療や介護の知識を正しく知る」ためのジャンルです。
介護の真空地帯


ようやく見つけた認知症治療法「コウノメソッド」では、「周辺症状」の治療を優先しています。それは、「周辺症状」こそが、「介護離職」「介護殺人」「介護うつ」など、介護で起こる諸問題の根源といえるからです。


例えば「介護保険制度」。
介護が必要であると認定を受けると、その程度によって、日常生活の支援や介護のサポートを受ける際に介護給付を受けることができます。この制度自体は素晴らしいものですが、こと認知症介護においては、思わぬ落とし穴があります。


父の場合、首から下は元気であり、身体介護は必要ではありませんでした。ところが介護保険制度は、その内容を見てみると、主に身体的な介護を前提に設計されているように思えました。もちろん要介護度が低くても(首から下が元気でも)介護予防訪問、月2回のショートステイなどの介護サービスを受けることはできます。


しかしながら、家族が「周辺症状」で困っている場合、それらのサービスは困りごとを解消してくれないのです。

周辺症状が治まれば、介護サービスの選択肢も増える

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通過儀礼~おひとり様の介護離職~第6回 本当に会社を辞めなければ介護はできないのか?
また、父は病気発症前から「そういうところへは行きたくない!」と言っていましたし、周辺症状が激しければ「ウチではちょっと・・・」とサービスの利用を断られてしまうケースもあります。また、狭い田舎の場合、誰々が認知症になった、という情報は、あっという間に知れ渡ってしまいます。そのスピードたるや、LINEやfacebookの比ではありません。


それだけは断固として避けたかったことと、中途半端に介護保険サービスを利用しても、「ともかく穏やかになってほしい」という、家族が望む結果は得られなかったわけです。


逆に、認知症を発症しておらず、要介護度が高い場合は、介護保険制度を十分に活用するメリットがあります。施設の入所も可能ですし、「いつもすまないね~」「大丈夫ですよ、仕事ですから」といったコミュニケーションが成立すれば、外部サービスを積極的に活用でき、家族の負担軽減も期待できます。


認知症の周辺症状が激しいと、医療機関からは「認知症は治せません。介護サービスを利用しましょう」と言われ、介護事業所からは「興奮、徘徊が激しい人はちょっと・・・」と利用を断られてしまう。結果、自宅に引きこもってしまい、自分たちで抱え込んでしまう。これを、私は「介護の真空地帯」と呼んでいます。


「介護の真空地帯」に陥った状態は、前述の「介護離職」「介護殺人」「介護うつ」など、毎日のようにニュースになっている悲劇が起こりやすい状態といえます。周辺症状が治まれば、介護サービスの選択肢も増え、家族の精神的・肉体的負担や、睡眠時間、外出など日常生活における負担や制約も軽減できます。


そのような状態に戻すためにも「周辺症状」の治療を最優先すべき、という河野和彦先生の治療方針は、患者側の事情を十分に理解されているものだと感じ、受診を決意しました。

育児・育児・介護休業法

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通過儀礼~おひとり様の介護離職~第6回 本当に会社を辞めなければ介護はできないのか?
「うちの会社は介護に関する制度がないから」という理由で、介護離職を選んでしまう方がいらっしゃいます。


もちろん独自の制度をもたない企業もあるでしょう。しかしながら、働く人の介護を支援する制度が法律で制定されています。


「育児・介護休業法」をご存知でしょうか。女性が妊娠した場合、出産と育児のために仕事をお休みするのは、どの職場でも見受けられることと思います。一方、従業員の方が介護が必要になった場合、育児と同様に「休業」「休暇」を取れる制度があることは意外と知られていません。


育児と同様、勤め先が介護に関する規程を整備していなくても、法律を根拠に制度が利用できるわけです。大手企業等では、独自の制度を整備しているところもありますが、最低限、下記の制度は利用できるわけです。

介護休暇・休業は 「介護の環境整備」に使うもの

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通過儀礼~おひとり様の介護離職~第6回 本当に会社を辞めなければ介護はできないのか?
「たった5日の休暇で介護はできないのでは?」と思われるかもしれませんが、介護休暇・休業は本来介護そのものをするためでなく、「介護の環境整備」に使うものです(下図参照)。


制度を知らなければ、それこそ5日間はあっという間に過ぎてしまいます。長期の介護休業(93日)は、その間に家の段差を無くすリフォームをするとか、介護事業所のあたりをつけるなど、遠方に介護を必要とする方がいる場合、その準備期間として位置づけられます。


仕事を継続するためにも、介護休暇・休業を最大限活用することが重要です。

また、介護休業を取得した時点で、雇用保険に加入していれば「介護休業給付金」も受給できます(要件あり)。なので、介護離職をしてしまうと、これら“サラリーマンであるがゆえの恩恵”を受けられなくなってしまうことから、介護=即離職! を選ぶことは得策とは言えません。


これらの制度を調べて使い倒し、前述の「周辺症状」のコントロールと併せることで、介護離職等、最悪の事態を避けることができるかもしれません。

本当に会社を辞めなければ介護できないの?

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通過儀礼~おひとり様の介護離職~第6回 本当に会社を辞めなければ介護はできないのか?
「本当に会社を辞めなければ介護できないの?」


介護が必要になりそうだったら、今一度考えてみてください。


■教訓


・「周辺症状」による「介護の真空地帯」が、介護負担の真因
・患者さんと意思疎通ができるかできないかが、その後の介護方針を決定する
・治療方法を探したり、介護保険制度や育児・介護休業法を使い倒したうえで、はじめて介護離職を検討する
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会社名 それから株式会社 設立 2017年4月7日 代表取締役 庄司 桃子 (中小企業診断士) 事業内容 会社経営、マーケティング...
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