「出船にそろえる」 ~お座敷に上がるときにほんの少しの所作を~

  2017/5/28
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こんにちは、篠原あかねです。
「出船にそろえる」聞いたことありますか?

これは、玄関先で履物を揃える時に使う言葉です。

靴を脱いであがるとき・・・こんなことしてませんか?

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皆さんは、お客様の玄関や飲食店などで靴を脱いで上がる際、どのように上がっていますか?
上がり口に背中を向けて、よいしょっとという感じで靴を脱いで上がっていませんか?

実はこれはNGです。
正解は、訪問したままの状態=前を向いた状態でそのまま靴を脱ぎます。
次に、上り口の左右どちらかに寄り、
膝を曲げて腰を落とし(お尻を突きださない!)、
体を斜めに向けて自分の靴を「出船にそろえ」ます。

「出船」とは船が港から海へ出航していくこと。
靴のつま先を船の先端に見立てているのです。
踵側は港ということになりますね。
逆に「入船にそろえる」は、靴のつま先が玄関や上がり口へ向いた状態を指しています。
港へ入ってくるから入船です。

さて、本来はこのように靴を脱がなくてはいけないのですが、前述のとおり、訪問先の相手や座敷側へ背中を向けて靴を脱ぐ方が非常に多いです。
しかし、これでは出迎えてくれる相手にお尻を向けることになってしまい失礼にあたります。
相手が「そのままで結構ですよ」と言われても、サッと靴を揃え直すとスマートに見えます。

もとは武士の茶道から

さてこの習慣は諸説ありますが、戦国時代から始まったとも言われています。
武士が権力を握っていた時代、茶道は武士のたしなみのひとつと言われていました。
お茶室へ上がる際には、狭い躙り口(にじりぐち)を通らなくてはいけません。
当然ながら刀の持ち込みはできませんでした。
余談になりますが、お茶室では武士といえども丸腰です。
そこに集う人々の信頼なくして優雅な時を楽しむことはできませんでした。
刀以外で殺される危険があるのは毒物です。
万が一、お茶に毒が盛られていたら一発アウトです。

今でも訪問先で出されたお茶は、必ず口をつけるのがマナーです。
自分のためにお茶を淹れてくださったことに感謝の気持ちを表すためはもちろんですが、
「あなたのことを信じて私はこのお茶を飲みます」と相手に伝えると同時に、相手は「毒など入れておりません。私を信じて召し上がってください」という意志表示でもあるのです。
この1杯のお茶に信頼関係が凝縮されているのです。

話は戻り、このような信頼関係の中でお茶を楽しむ武士に突如、敵が襲撃してきたらどうでしょうか?
すぐに逃げる必要があります。狭い躙り口から飛び出し、草履をゆっくり履いている時間はありません。
出船に揃えてあれば、すぐに履けるというわけです。
こうして危機管理をしていたのですね。
現代であれば、地震の際にすぐに靴を履いて避難できることにも当てはまるのではないでしょうか。

心に余裕をもって「出船にそろえる」

子供の頃から「帰ってきたら靴は揃えなさい」と家族に言われたと思います。
靴を揃えることは、心を整えることでもあります。
自分の靴だけでなく、揃っていない靴を見かけたら、他人の靴でも揃えてあげるぐらいの心の余裕を持ちたいものです。

最後に、旅館へ行くと玄関でスリッパに履き替えることがありますよね。
このような時はどうしたら良いでしょうか?
下足番(お客様の靴を収納する係りの人)がいる場合は、入船にそろえて上がって大丈夫です。
靴の収納をするのが仕事なので、遠慮なくお願いしましょう。
この時に一言「ありがとうございます」は忘れずに。
「出船にそろえる」
帰宅したら必ず靴を揃えて、翌日も元気に心に余裕をもって出勤できるように心がけていきましょう。


スマートコミュニケーションズ株式会社 代表取締役 篠原あかね
運営会社 それから株式会社
ヒメノワ
会社名 それから株式会社 設立 2017年4月7日 代表取締役 庄司 桃子 (中小企業診断士) 事業内容 会社経営、マーケティング...
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